【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 
 「王太子殿下とは、普段どんな会話をしているんだい?」

 この話をした瞬間、オリビアは下を向き「お父様に言うほどの事ではなくて……他愛ない話ですわ」と笑顔を作って話を終わらせた。やはりおかしい。
 

 後日殿下にお会いした際に殿下にも探りを入れてみたところ「オリビアは妃教育にちゃんと取り組んでいるのか?」と娘の努力を疑うような発言をされる。明らかに邪険に思っているかのような殿下の言葉に私の疑念は確信に変わった…………あれだけ妃教育に熱心に取り組んだ娘を……娘の気持ちを知りながらこの仕打ち…………許すまじ。

 
 その後、娘が6日間寝込んだ時に殿下がお見舞いに来て下さり、娘の手を握ってしおらしい態度だったが、何をいまさら……と白々しい気持ちでいっぱいだった。
 
 娘が目覚めた4日後に殿下はまた見舞いに来てくださったのだが、酷く動揺してお帰りになられた。どうやら娘に領地に療養に行きたいと言われたらしい。
 私は娘からその話は聞かされていなかったが、聞かされていても学園にいて惨めな思いをするくらいならその方がいいだろう、と賛成していただろう。しかし殿下は違ったようで「領地に療養しに行く事になるのか?」というような事を私に聞いてきたのだ。

 
 これはどうした事だ…………殿下が娘と離れる事に動揺しておられる………………いい機会だと思った私は「娘がそう言うなら、そうなのでしょう」と思わせぶりな事を言っておいた。
< 52 / 512 >

この作品をシェア

pagetop