【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部更新中】
婚約者とお義父上
「誰が誰をだいすきなの?」
「ヴィ、ヴィル……いつからそこに?」
さっきまでいなかったはずなのにいつの間に……私は動揺を隠しきれず、顔が引きつってしまう。
そんな私の様子が面白いと言わんばかりに、ヴィルは体を震わせながら笑いをこらえていた。
「今着いたばかりだけど、オリビアが面白い事を言っているなと思って聞いてだんだ」
「あ、あのこれは……」
「おうじさまだ!本物のおうじさまが来たー!」
私がさっきの言葉を聞かれて羞恥に悶えていたけれど、そんな私の気持ちなどお構いなしに子供たちは、本物の王太子殿下を見られて嬉々としてヴィルの元へ走って行った。
だるまさんがころんだをしていた子供たちに囲まれ、ヒーローのように崇められているヴィルは、少し照れながらも満更でもない様子……なんとか誤魔化せそうでホッとしている自分もいる。
まさか本当に本人がいるなんて夢にも思わないし、ヴィルが用事もなしに私の顔を見に来る時は、大抵私の邸に来てくれるから。
そう考えると彼がこの場所に来るという事は、何か私に用事があって来たという事なのかしら?
「ねえ、ねえ、おうじさま。オリビア様っておうじさまが大好きなんだって!」
「さっきも大きい声でいってたもんねー!」
「ちょ、ちょっと、あなた達!あれはルールで……っ」
「ふーん……そうなんだ?」
マズいわ、絶対これは後で揶揄われるパターンよ。
どうにか誤魔化さないと……私が必死に考えていると、そこへ修道院長様がやってきて助け船を出してくれる。