【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
一緒に歩んでいくパートナー…………そんな人間として隣にいられるという事は幸せな事だって、私は知っている。前世でそうなりたかった夫とは、全くダメだったから…………どちらが悪いなんてもう分からなくなっていたし、生活していく事に必死でどうでもよくなってしまっていた。
でも私だって最初はそうありたいと願って、努力していたはずなんだけど、どこからすれ違ってしまったのか…………気付いたら手遅れになるほどに夫との距離は離れるばかり。
今回小説の世界に転生したけれど、こちらの世界でも婚約者の本当のパートナーは自分ではないという…………皮肉なものね。でも未来が分かっているからこそ、私に出来る事がある。
王太子とは離れたし、ソフィアとも出会って、ゼフがいたり、小説の内容からはかけ離れてきてはいる。でも聖女がパートナーになる未来は変わらないはず。だから全力で王太子から離れ、一人で生きていく未来をつかみ取らなければ。
何より公爵家の皆をあんな目に合わせたくない!一人で悶々と考えながらフンスと鼻息荒くしていると、不思議に思ったロバートが声をかけてくる。
「……お嬢様?」
「あ、とにかくそういう事だから!ロバート、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げた。いけない、前世の事を考えてしんみりしてしまったわ…………とにかく今に集中しないと。