【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「ほしい本はどれ?」
………………ゼフの声を久しぶりに聞いた気がする………………
おずおずとソフィアが取ると、ゼフはそっとおろしてくれた。
「あり……が……と…………」
真っ赤になりながら何とか声を絞り出し、ゼフにお礼を言うソフィア。頑張ったわね!もはや姪っ子を応援するおばさんのような気持ちよ…………ゼフはソフィアの頭をポンとすると入口付近で護衛に戻っていった。
…………うーーーーん、さり気なさすぎるわ。ゼフ、恐るべし。
ソフィアはその絵本を大事そうに抱えてテーブルで読み始めたので、私も一緒に読書しようと本を探し、その日は二人で読書の日となった。ゼフに手伝ってもらって取れた絵本を大層気に入ったソフィアは、部屋にも持って行っていつも読んでいる。
図書館に連れて行って良かったな…………微熱が出て一旦小休止になったけれど、こんな風にゆっくり過ごすのもいいかもしれない、と思えたのだった。前世ではこんな風にゆったり過ごすなんて、まず出来なかったものね……あれはあれで充実していたけれど、それで体を壊してしまったのだから元も子もない。