【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
俺は物乞いたちのリーダー的な存在だった事もあり、自分より小さい者の面倒を見なければならない。しかし皆幼かったから、宝飾品に目がくらんだ仲間が俺の言葉を無視して、宝飾品を盗もうとしていた。
そういったものは幼い人間が売りに行っても相手にしてもらえないし、仮に売れても誰が売りに来たのか足がついてしまう為、盗んでも使い道がない。
俺の1個下の仲間、コウダの腕を掴む。
「宝石類はダメだって…………」
「そこで何をしている!!」
背後から突然大きな声が聞こえる。やばい…………役人が来た……!咄嗟に幼い仲間を裏口から逃がした。自分だけなら簡単に逃げられただろうが、それをしてしまったらもう仲間の元へは帰れない。皆同じ穴の狢だから、力を合わせて生き抜いてきたし……ここで見捨てる選択肢はなかった。
幼い仲間を逃がし、次は自分も……と思ったが、やはり囲まれてしまう。
散々役人から暴行を受け、体は全く言うことをきかないし、言葉も発する事が出来ない…………このまま死ぬのか……あいつらが逃げられたならいいか………………