【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~


 意識が遠ざかりそうな中、そんな事をぼんやり考えていると、小さな子供の声だが偉そうな物言いの人物が現れる。


 「その辺で止めるんだ。物乞いと言えども子供だ。弱き者を守る為に我々のような者がいると習ったぞ。」

 「はっ……失礼いたしました、ヴィルヘルム殿下」
 「…………ふんっ……もういい。ここは私が引き受ける。皆下がっていいぞ。」

 「し、しかし…………」
 「……子供をむやみに暴行した事、父上に言いつけるぞ?」

 「…………わかりました…………」

 
 バタバタと足音が遠ざかる。俺は助かったのか?それにこの少年…………ヴィルヘルム殿下?貴族の子供か?色々な事で頭の中がぐしゃぐしゃだったが、何とか顔を上げようとすると、その少年が顔を覗き込んでくる。


 「お前、綺麗な瞳だな~!見る度に色が変わって面白いな!」


 少年はキラキラ顔を輝かせてそう言ってくる…………しかし、自分の方がよほど美しいではないか、と言いたくなるほど綺麗な顔をしていたのでつい見惚れてしまった。
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