【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「今はダメよ。このままの状態にしておいて……もし教会に私たち公爵家が動いていると悟られたら、証拠を隠したり対策するでしょう?教会には気取られずに進めたいの。どの道証拠は住民から納税証明書のようなもので押さえられるから、ひとまず教会は泳がせておくわ」
ここで悟られたら、身分を隠して市場に潜入したのが水の泡になってしまうものね。これからも動きにくくなるし、私たちの存在はしばらく隠しておきたい。
「…………承知いたしました。このような事態になり、誠に申し訳ございません……旦那様になんと申し上げればよいやら…………」
ロバートは落ち込んで肩を落とす…………きっと公爵家の為に粉骨砕身の精神で勤めてきたでしょうし、彼が誰よりもショックを受けているに違いない。でもここで下手な慰めの言葉をかけてもロバートのような高貴な志のある人間は嬉しくないでしょうね……
「お父様は謝ってほしいとは思わないでしょう。ロバートが誠実に勤めてきた事を誰よりも分かっているはずだし。今回の件でロバートにも色々手伝ってもらいたいの。私一人では解決出来ないと思うから…………解決出来たらチャラにしてあげてもいいわ」
「……チャラ?」