目と目を合わせてからはじめましょう
 「ソファーの上くらいは片付けるか?」

 「そうですねえ」

 ソファーに置いたままになっていたジャケットを手にした。


 ソファーの上の物を確認していると、お風呂が沸きました音楽が流れてきた。

 「お風呂、入ってきたらどうですか?」

 「そうさせてもらう」

 雨宮は一旦持った一塊の書類らしきものを、またテーブルに置いて、お風呂に向かった。


 私は、手にしていたジャケットをクローゼットにしまった。そう言えば、昨日買ったシャツがショップの袋に入ったままだ。シャツを袋から出すと、試着してみたくなる。シャツの型と色が気にいたものだ。試着してパンツと合わせていると、雨宮がお風呂から出てきた。

 「冷めないうちに入ったらどうだ?」

 「うん。そうします」


 私も、パジャマを持ってお風呂に向かった。一日の疲れをお風呂で癒し、さっぱりとしてリビングに戻ると、雨宮がソファーで何やら書類らしきものを見ていた。

 「ちょっと気になる書類が出てきたんだ」

 そう言って、雨宮は私の方を向いた。私も冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して雨宮の横に座った。

 「大事な書類、無くならなくてよかったですね」

 「まあな」


 雨宮の手が、私の腰に回ってきた。書類を見ながら、雨宮の手がパジャマの隙間から入ってくる。

 「ちょ、ちょっと、片付けするんじゃないんですか?」

 そう言っているのに、書類にむけていた顔が近づいてきて唇を重ねられた。

 「明日でいいよな?」

 「ええ〜」

 と言った私の唇は、また塞がれてしまった。


 うわっ、うわー

 どんどんと、雨宮の手が上に上がってきて、胸の膨らみを捉えてしまった。そうなれば、雨宮の力になんて叶うはずもない。吸い込まれるように体の力が抜けていってしまう。

 「あんっ」

 甘い声が漏れてしまえば、もう、雨宮の思う壺なのだろう。だけど、抵抗するどころか、体は熱くなり、雨宮の手の動きと共に、別の世界へと促されていく。

 ふっと、体が浮いたかと思うと、そのままベッドへと運ばれてしまった。

 そこからは、もう、何が何だか。激しいのに、気持ち良すぎて。あんなことやら、こんなことまで。何度、いかされた事か。雨宮の体力に呆れるしか無かった。


 ブー、ブー

 スマホが鳴っているようだ。
< 106 / 171 >

この作品をシェア

pagetop