目と目を合わせてからはじめましょう
 ぬーっと、いつの間にか明るくなっている部屋の中に伸びた肌色。雨宮がベッドサイドに置いたスマホに手を伸ばした。

 雨宮のスマホか。また、眠りにつこうと目を閉じた。

 「おい。スマホ鳴ってるぞ」

 目の前にスマホが差し出された。

 閉じた瞼をうっすら開けて、スマホを受け取った。


 「もしもし」

 「咲夜?まさか、まだ寝てたの? いくら休みだからって、家にいる時みたいにダラダラしていたら、雨宮さんに申し訳ないじゃない」

 「うん? ママ? どうしたのよ」

 「パパと一緒に、雨宮さんにご挨拶に行こうと思ってね。これから向かうから、雨宮さんにお伝えしておいて頂戴」

 「えっ? 何言ってるの? 向かうって何処へ?」

 「決まってるじゃない、雨宮さんのお宅よ。昨夜がお世話になっているのだから当然でしょ」

 「ちょ、ちょっと待ってよ。雨宮さんの都合だってあるし」

 「まあ、取り敢えず行くわ」

 通話は切れてしまった。


 一気に目が覚めた。

 「ええええーーーーっ」

 悲鳴を上げたところで、どうしようもないのだが声を出さずにはいられない。

 「どうした!」

 雨宮がガバッと起き上がった。
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