目と目を合わせてからはじめましょう
 眞子ちゃんにお昼に入るように伝え、私も軽くランチにするために休憩室に入った。

 「咲夜ちゃん、サンドイッチ買ってきてあるから良かったら食べて。予定より早く上がれたから、この前売り切れで買えなかったって言っていた人気の店に回ってみたんだ」

 池山先輩が、マグカップに入れたコーヒーを片手にニコリと笑った。

 テーブルの上には、ずっと気になっていたパッケージのサンドイッチが種類豊富に並んでいる。

 「わー。食べたかったんですよ。ありがとうございます」


 遠慮なく、大きなハムサンドを頂いた。もう、すでに他のスタッフも食べた形跡がる。こうやって、慌ただしい昼の時間に差し入れをしくれる、池山先輩は本当に皆の事を考えているのだと思う。

 「わー、美味しい。これで午後も頑張れそう」

 美味しい物を食べると、なんだか不思議と力が湧いてくる。


 「それなら良かった。朝、ちょっと元気ない気がしていたんだけどね」

 えっ? 今朝は雨宮の事を心配しながら、お店に向かったのは確かだ。でも、顔に出ているわけない。いつも通りの挨拶をしたはずだ。

 「そんな事ないですよ。いつもと変わらない朝でした」

 嘘だけどね。ちょっとおどけて笑顔を見せた。


 「ふーん。まあ、何か困ったことあれば、いつでも相談に乗るよ」

 いつもと変わらない穏やかな笑顔なのに、池山先輩の表情が少し困っているように見えたのは気のせいだろうか。
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