目と目を合わせてからはじめましょう
 うーん
 太陽が眩しー。

 水着に着替えて、大きな浮き輪をプールに浮かべた。意外に、浮き輪に乗るのは難しい。

 「咲夜ちゃん、気をつけてー」

 ビキニ姿にサングラスをかけた友梨佳叔母さんが、プールサイドで手を振っている。

 私も大きく手を振った。


 「おお、咲夜!!」

 おばさんの後ろで手を振っているのは、海パン姿のじーちゃんだ。

 「あれー。じーちゃん、ママ達と観光に行かなかったの?」

 「ああ。プールの方がが楽しそうだと思ってな」

 ママ達女性陣は、悠矢を運転手に観光と買い物に行った。パパ達男性陣は、ゴルフだ。

 と言う事は……
 やっぱり……

 じーちゃんの斜め後ろに控えめに立っているのは大男だ。

 気にしない、気にしない。と、目を背けようと思ったのだが……

 ええ〜〜
 どうして?
 雨宮の海パン、私のビキニの柄とお揃いなの?

 コバルトブルーハイビスカスなんて、ただでさえ目立つのに! だいたいSPが、なんで海パンなのよ?

 似たような海パンの人もいるし、並ばなければ、お揃いなんて誰も気づかないよね?


 とにかく、プールを楽しむべし。

 しばらく、のんびりと海を眺めながらプールを満喫していると、二人組の男が近づいてくるのがわかった。
 なんか面倒臭い感じの人達だな。おばさんの所に行こうかと向きを変えた。

 バシャーン!!

 大きな水しぶきが上がった。
 ええ?

 振り向くと、大男が水の中から上がってきた。

 「どうしたんですか?」

 「暑かったので、水に入りたくなっただけです」

 「ああ、そうですかぁ……」

 雨宮は、私の周りを一周すると、さっと身軽にプールを上がりじいちゃんの元に戻った。

 気付けば、さっきの男達は居なくなっていた。それなら、しばらくこのまま泳いでいよう。


 また、しばらく浮き輪で浮いていると、

 バッシャーン!!

 大きな水しぶきが上がった。
 まさか?

 また、雨宮が水から浮かび上がってきた。

 「暑いんですか?」

 「はい」

 さっきと同じように一周すると、コバルトブルーの海パンがプールサイドに上がった。

 確かに、暑いよね。警護の仕事も大変だな。
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