目と目を合わせてからはじめましょう
「あんた達の事は別よ。咲夜ちゃんは、結婚したくないの?」
何が別なんだか? 気をつけなきゃ。
「まさか! 結婚したいわよ」
「ええっー そのなの?」
皆が驚いた顔で、私を見る。
「そうよ。なんでそんなに驚くのよ」
「だったら、会ってみればいいじゃないの友梨佳さんの知り合いと」
ママが、いい考えだと言わんばかりに、パチンと手を叩く。
「だから、お見合いとか紹介は嫌。運命的な出会いをしたいのよ」
「ねえちゃん、結構、男から誘われたりしてるだろ?」
悠樹が、チーズ春巻きを加えながらいう。
「だから、私には理想の人がいるのよ?」
「どんな、理想だ」
「とにかくお金持ちで、スラーっとしてて優しい笑顔。王子様みたいな人。アラブの石油王とかでもいいわ」
「おいおい、お王子様も石油王も、姉ちゃんを選ぶメリットないだろ? 相手にだって選ぶ権利はあるぞ。石油王もこんな何も出来ない奴、恥ずかしくて妻になんて出来ないだろ」
「はあ? やろうと思えば、私だって出来るわよ。」
「やろうと思うならやりなさいよ。今のままじゃ、王子様もじーさんになっちゃうわよ」
意味わかりません。
「その歳で、王子様とか笑えるわ」
一番下の弟、悠矢がバカにしたように笑って言った。
「あんただって、彼女とかいないくせに!」
「はあ? いるよ」
「ええっ!」
また、皆が一斉に声を上げる。
なぜ驚くかというと、悠矢はいい奴で、友達も多い。頭もそこそ良いのだが、一言で言うと、バカな子だ。マイペースで、不思議な事をしでかす。小学校の修学旅行は先生と間違えて、知らない男の人に付いていき迷子になって大騒ぎだった。大学も入学したが、一日も行かず辞めてしまった。
ただ、車に関しては知識が高く、運転レベルも半端ない。見兼ねた湯之原のじーちゃんが、運転手に雇った。
悠矢に彼女? あり得ないわ。
そんな、どーでもいい話をしていると、また別の黒いスーツ姿の男がリビングに入ってきた。ずっといたSPの男の元に近づき、何やら話をしている。
時計を見ると9時を回った。そろそろ帰るとするか。
「そろそろ、帰るわ」
「あら、もうそんな時間。ケーキ焼いたのよ、お茶淹れるから食べてから帰ったら?」
ママの焼いたケーキと聞けば、こんな時間だと言うのに素直に頷いてしまう。
お手伝いさん達により、さっとテーブルが片づけられ、お茶とケーキが用意される。ケーキをパクりと口に入れ、ブランデーのほのかな香りと甘さが口の中に広がった時だ。
「大変だぞ!」
廊下で電話をしていたパパが、バタバタと部屋に入ってきた。
何が別なんだか? 気をつけなきゃ。
「まさか! 結婚したいわよ」
「ええっー そのなの?」
皆が驚いた顔で、私を見る。
「そうよ。なんでそんなに驚くのよ」
「だったら、会ってみればいいじゃないの友梨佳さんの知り合いと」
ママが、いい考えだと言わんばかりに、パチンと手を叩く。
「だから、お見合いとか紹介は嫌。運命的な出会いをしたいのよ」
「ねえちゃん、結構、男から誘われたりしてるだろ?」
悠樹が、チーズ春巻きを加えながらいう。
「だから、私には理想の人がいるのよ?」
「どんな、理想だ」
「とにかくお金持ちで、スラーっとしてて優しい笑顔。王子様みたいな人。アラブの石油王とかでもいいわ」
「おいおい、お王子様も石油王も、姉ちゃんを選ぶメリットないだろ? 相手にだって選ぶ権利はあるぞ。石油王もこんな何も出来ない奴、恥ずかしくて妻になんて出来ないだろ」
「はあ? やろうと思えば、私だって出来るわよ。」
「やろうと思うならやりなさいよ。今のままじゃ、王子様もじーさんになっちゃうわよ」
意味わかりません。
「その歳で、王子様とか笑えるわ」
一番下の弟、悠矢がバカにしたように笑って言った。
「あんただって、彼女とかいないくせに!」
「はあ? いるよ」
「ええっ!」
また、皆が一斉に声を上げる。
なぜ驚くかというと、悠矢はいい奴で、友達も多い。頭もそこそ良いのだが、一言で言うと、バカな子だ。マイペースで、不思議な事をしでかす。小学校の修学旅行は先生と間違えて、知らない男の人に付いていき迷子になって大騒ぎだった。大学も入学したが、一日も行かず辞めてしまった。
ただ、車に関しては知識が高く、運転レベルも半端ない。見兼ねた湯之原のじーちゃんが、運転手に雇った。
悠矢に彼女? あり得ないわ。
そんな、どーでもいい話をしていると、また別の黒いスーツ姿の男がリビングに入ってきた。ずっといたSPの男の元に近づき、何やら話をしている。
時計を見ると9時を回った。そろそろ帰るとするか。
「そろそろ、帰るわ」
「あら、もうそんな時間。ケーキ焼いたのよ、お茶淹れるから食べてから帰ったら?」
ママの焼いたケーキと聞けば、こんな時間だと言うのに素直に頷いてしまう。
お手伝いさん達により、さっとテーブルが片づけられ、お茶とケーキが用意される。ケーキをパクりと口に入れ、ブランデーのほのかな香りと甘さが口の中に広がった時だ。
「大変だぞ!」
廊下で電話をしていたパパが、バタバタと部屋に入ってきた。