目と目を合わせてからはじめましょう
「どうしたの?」
ママの言葉と同時に、皆がパパの方を見る。
「咲夜の家の付近で、不審者が出ている。ここ何日で、一人暮らしの女性が何人も狙われたらいいぞ」
「嫌だわ。怖いわね」
友梨佳おばさんが、腕を組んで両腕を摩った。
「悠矢、咲夜を送っていてやってくれ」
湯之原のじーちゃんが心配そうに言った。
「ああ。わかった」
「駅まで近いし大丈夫よ」
ケーキを頬張りながら答えた。
「何言ってるんだ! 襲われた子がいるんだぞ。そうだ! SPじゃ!」
いやいや勘弁してください。
「わかったわ。悠矢に送ってもらうから」
諦めて言ったのだが……
「おお! そうだ、雨宮君!」
湯之原のじいちゃんの声に、SPの男がさっと近づいて来た。あの男、雨宮と言うらしい。
いやー、本当に大きい。百九十センチくらいある身長。胸板も厚くガッチリしているが、バランス良い体格。
「そろそろ、引き継ぎの時間かね? 申し訳ないが、咲夜の家を回ってもらえないだろうか? セキュリテーの確認をして欲しい。君の会社のセキュリティを使っておるから、確認できるだろ?」
「大丈夫よ、じーちゃん。昨日もちゃんとピピーって音してたから」
「ばか言っちゃいかん、犯人と言うのは、事前に下調べしておるもんだ!」
まあ、そうかも知れないが、そこまでしなくても。
「はい、承知しました。確認させていただきます」
雨宮という男は、表情ひとつ変えずに返事をした。それがまた、なんとも威圧感のあること。
「それなら、雨宮さんもケーキ食べていって。すぐ用意するわ」
ママが立ち上がる。
「いえ。私は結構です」
「そんな事言わずに。お母様にも、持っていってもらいたいのよ」
ママがそういうと、雨宮の頬が少し上がった気がした。ママの知り合いらしい。
「すみません。いただきます」
「まあ、座りなさい」
じーちゃんが、雨宮に席に座るよう促した。私の前に、大きな体が座った。
背筋を伸ばし、堂々としているが、全てに意識を張り巡らせている感じが漂っている。ケーキが運ばれてくると、雨宮はフォークにイチゴとスポンジをさし口に入れた。
ゲーッ。いちごのケーキが似合わなーい。
だが、口に入れた瞬間、少しだけ目が開いた気がする。美味しい過ぎたのだろうか?
そして、美和さんのお気に入りの黄色い花柄のテーカップを手に取った。
ぎゃー こんなにカップ小さかったっけ? いやいや、この男が大きすぎるんだ。
なんだか、ゆるキャラでも見てる気がして、ニヤけてくるのを堪えた。
すると、雨宮の視線が、スッと私に向く。一瞬だが目が合った気がした。
その目が言った。
なんで、お前を送らなきゃならんのだ、と…… 絶対に言った。
ママの言葉と同時に、皆がパパの方を見る。
「咲夜の家の付近で、不審者が出ている。ここ何日で、一人暮らしの女性が何人も狙われたらいいぞ」
「嫌だわ。怖いわね」
友梨佳おばさんが、腕を組んで両腕を摩った。
「悠矢、咲夜を送っていてやってくれ」
湯之原のじーちゃんが心配そうに言った。
「ああ。わかった」
「駅まで近いし大丈夫よ」
ケーキを頬張りながら答えた。
「何言ってるんだ! 襲われた子がいるんだぞ。そうだ! SPじゃ!」
いやいや勘弁してください。
「わかったわ。悠矢に送ってもらうから」
諦めて言ったのだが……
「おお! そうだ、雨宮君!」
湯之原のじいちゃんの声に、SPの男がさっと近づいて来た。あの男、雨宮と言うらしい。
いやー、本当に大きい。百九十センチくらいある身長。胸板も厚くガッチリしているが、バランス良い体格。
「そろそろ、引き継ぎの時間かね? 申し訳ないが、咲夜の家を回ってもらえないだろうか? セキュリテーの確認をして欲しい。君の会社のセキュリティを使っておるから、確認できるだろ?」
「大丈夫よ、じーちゃん。昨日もちゃんとピピーって音してたから」
「ばか言っちゃいかん、犯人と言うのは、事前に下調べしておるもんだ!」
まあ、そうかも知れないが、そこまでしなくても。
「はい、承知しました。確認させていただきます」
雨宮という男は、表情ひとつ変えずに返事をした。それがまた、なんとも威圧感のあること。
「それなら、雨宮さんもケーキ食べていって。すぐ用意するわ」
ママが立ち上がる。
「いえ。私は結構です」
「そんな事言わずに。お母様にも、持っていってもらいたいのよ」
ママがそういうと、雨宮の頬が少し上がった気がした。ママの知り合いらしい。
「すみません。いただきます」
「まあ、座りなさい」
じーちゃんが、雨宮に席に座るよう促した。私の前に、大きな体が座った。
背筋を伸ばし、堂々としているが、全てに意識を張り巡らせている感じが漂っている。ケーキが運ばれてくると、雨宮はフォークにイチゴとスポンジをさし口に入れた。
ゲーッ。いちごのケーキが似合わなーい。
だが、口に入れた瞬間、少しだけ目が開いた気がする。美味しい過ぎたのだろうか?
そして、美和さんのお気に入りの黄色い花柄のテーカップを手に取った。
ぎゃー こんなにカップ小さかったっけ? いやいや、この男が大きすぎるんだ。
なんだか、ゆるキャラでも見てる気がして、ニヤけてくるのを堪えた。
すると、雨宮の視線が、スッと私に向く。一瞬だが目が合った気がした。
その目が言った。
なんで、お前を送らなきゃならんのだ、と…… 絶対に言った。