目と目を合わせてからはじめましょう
 「はい」

 『中央警察署の川崎です、昨夜の事件でお話したいことがありますので、お手数ですが署まで来て頂くことは出来ないでしょうか』

 「はい。伺います」

 通話を切ると、不安げにこちらを見ている雨宮の顔があった。

 「警察からでした。これから行ってきます。」

 ごちそうさまと、両手を合わせて席を立った。


 「俺も行く」

 「えっ? 家で着替えもしたいし、そこまで迷惑かけるわけにはいかないです」

 「今更、迷惑もなにもないだろ? 行くぞ」

 警察でどんな話を聞かされるのかと思うと、正直不安になる。そして、私は結局、雨宮を頼ってしまうのだ。



 自宅に着くと、雨宮は手際良く辺りを確認し、私に家の中へ入るように促した。

 「俺は、車で待ってる。外で監視しているから大丈夫だ。数日分の荷物も持ってくるんだぞ」

 「はい」

 鍵を開けるて家に入ると、急いで着替えて荷物をまとめた。本当はシャワーを浴びたかったが雨宮が、待っていると思うとそうも行かない。

 荷物を持ち、改めて部屋を見渡す。

 もう少し、片付けておくべきだった。



 警察の話によると、昨夜私を襲った男は、最近通報されていた不審者の男と一致したそうだ。通り魔的な物でなく、事前にターゲットを決めて調べて犯行に及んでいたらしい。だから、私の名前も知っていたのだ。笑ってとた言ったのは、美容院の前でお客様に挨拶したのを自分にむけられたと思い込んだらしい。他に狙われた女性達も同じような内容だったとのこと。中には、怪我をしたり、体を触られたり、深く傷ついた女性もいる。


 不安はまだあるが、犯人が捕まってよかったとしか言いようがない。警察の人も安心していいと言ってくれた。
 事件を無かった事には出来ないが、同じ事が二度と起きない事を願いながら、雨宮と二人で警察署を出た。


 「気味悪い事件だが、まあ、犯人も捕まっている事だし、とりあえずは大丈夫だろう」

 「はい」

 私も、ほっとため息をiついた。

 「とは言っても、変な奴はいくらでもいる、油断するなよ」

 「はい。肝に銘じます。色々とお世話になりました。」

 深々と頭を下げた、
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