目と目を合わせてからはじめましょう
 「自宅近く、大通りから入ってすぐの西ヶ丘公園内の北側あたりですね」

 高木が警備課からの情報を的確に伝える。

 「了解。3分で着く」

 悠矢がスピードを上げた。


 「うわー。なかなかのドライブテクニックですね。どこで、こんな奴見つけたんですか?」

 「どこだったかな? 忘れた?」

 「そりゃ、忘れたいでしょ? やってるとこ見られたんだから」

 「はあ? なんの事だ?」

 悠矢の言っている事が気になるが、今はそれどころじゃない。


 「太一さんあれ!」

 高木の見たものと俺が見たものは同時だ。


 「高木反対に回れ。悠太、高木が動いたら車を回せ!」

 「了解」
 「了解」

 この指示で、悠太が本当に理解したとしたら、採用は確定だな。

 俺は、車から飛び降りた。

 「おい! 何してる!」

 彼がこっちに振り向く寸前に、男の腕を蹴り上げた。

 「うっ」

 男が呻き声をあげた。


 男は立ち上がると同時に、ナイフを取り出し彼女を後ろから羽交締めにした。ナイフを持っていることは、想定内だ。

 「彼女を傷つけたいのか?」

 怯えた彼女の姿に、怒りが湧いてくるのをグッと抑える。

 「うるさい!」

 男が、怒鳴った。


 高木の位置を確認する。
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