目と目を合わせてからはじめましょう
「きゃあああーーー 」

 叩いたり体を揺らしてみたりと騒いでみても、この大きな体はびくともしない。

どうしたらいいの?!! 

とにかく動かせるところを探す。 足がなんとか動く、じわじわとずらして行くと、片方の足が抜けた。よし、もう片方の足と、ずりずりと動かすと大きな体の下から足が抜けた。

はあっー。 良かった。

えっ?

なんと私は、両足を開いてしまった。

開いた足の間に、雨宮の体がストンとハマってしまったのだ。しかも、雨宮の両手は私の体をしっかりと押さえ込んでいる。


うっそーーー
いやあああーーー

しかも、ずりずりと足を動かしてしまったため、タイトスカートが捲り上がってしまった。
多分だけど、パンツ丸見えだ。


お、重い……

私の胸の上あるのは、あの男の顔?

あ、足が閉じない……

苦しい〜〜
助けて〜〜


 その時、ガチャリと玄関のドアが開いた。

「雨宮さん。まだ時間かかりそう?」

そうだ、悠矢がいたじゃないか。
助かったああー

「悠矢! 助けて!」

早く、この大男をどかして!

こんな状況のに、悠矢は呆然とこちらを見て立ち尽くしている。

「早く!!」

 私は手足をバタつかせて訴える。


「ああ! ごめん。俺、何も見てないから!」

我に返ったように、悠矢は慌てて両手で耳を塞いだ。

バカ、それは耳だ!

「違う! 助けて!」

悠矢には、聞こえていない。

「失礼しました!」

悠矢はぺこりと頭を下げると、逃げるように走り去ってしまった。


バカーーーーッ
どうして、あんたはこんなにバカなの!
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