友達じゃ、やだ。
第三話
あっという間に、ホワイトデーになった。
三月はかけ足で過ぎていく気がする。
あと少しで、終業式がやって来るんだもん。
授業が終わって。
放課後。
駅のホームで、電車を待つ間。
私は航くんにメッセージを送った。
〈話したいことがあるから、どこかで会いたい〉
航くんからはすぐに返事が来て。
〈わかった。今日、家に行くね〉
こんなふうに。
連絡を取り合うことも。
もう出来なくなるのかもしれない。
振られてしまったら。
でも。
それでも。
友達じゃ、やだ。
幼なじみの妹も、やだ。
航くんへの気持ちは。
そんな立ち位置では、おさまらない。
抱えきれない。
ホームに電車が来た。
空いている席が少ない。
(あ、あそこ座れる)
近寄っていくと。
小さな男の子の手を引いた、妊婦さんもその座席に近寄って来ていることがわかった。