友達じゃ、やだ。
お兄ちゃんの部屋。
ローテーブルに勉強道具を広げて。
航くんはノートに何かを書いていた。
俯き加減の航くん。
顎から耳にかけての、輪郭のラインがキレイ。
シャープペンシルを持つ手も、ゴツゴツしているけれど細長い指が魅力的で。
うっとりしてしまう。
「航、つれて来たよ」
と、お兄ちゃんが航くんに声をかける。
航くんは顔を上げて私を見ると、その美しい二重の目を優しく細めて、
「かのん、ちょっといい?」
と、手招きした。
私はちょこんと航くんの横に座る。
「ちょっとオレ、コンビニ行って来るわ。かのん、何か買ってきて欲しいもん、ある?」
「ううん。航くんは?」
「大丈夫」
お兄ちゃんは「おっけー」と、上着を来て部屋を出て行った。
「かのんに聞きたいんだけど」
と、航くんが私を見る。
「ホワイトデーってもうすぐだけどさ、かのんって何が欲しい?」