友達じゃ、やだ。

航くんはじっと私を見た。



「航くん?」



その瞳に見つめられて。

心臓がドキドキうるさい。



航くんの手が、私の頬に添えられる。



視線がぶつかる。

その瞳に、私が映っている。



「かのん……」



心臓がドキンと跳ねた。

そんな甘い声で、名前を呼ばないで。



航くんの顔が近づいてきて。

そっと唇が重なった。




一瞬だったようにも思うし。

永遠のようにも思えた。




無意識のうちに目を閉じていたけれど、まぶたの裏が真っ赤に燃えているみたいで。

嬉しくて。

でも、驚いていて。

間違いなく、私はパニックになっていた。




唇の感触がなくなって。

そっと目を開けると。

真っ赤な顔の航くんが、そこにいた。




「俺の欲しいものは、ただの幼なじみからは貰えないから」
と、呟いた航くん。



「えっ?」



ぽうっとふわふわした頭の中では、理解が追いつかない。

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