友達じゃ、やだ。
昼休みに友達とお弁当を食べていると、お兄ちゃんからメッセージが来た。
〈家の鍵、持ってないんじゃない?オレの鞄に紛れてたよ。放課後までに取りにおいで〉
鞄の中を探ってみる。
(本当だ。鍵、ないや!)
ひとり教室を出て、同じ校舎の三階を目指す。
この学校では、一年生の教室は東校舎の一階と二階にあって。
二年生の教室はその三階と四階にある。
お兄ちゃんのクラスと、航くんのクラスは隣同士で、三階にある。
(航くんに会ったら、気まずいな……)
でも、鍵を取りに行かないと。
帰る時に困る。
家には誰もいないし、お兄ちゃんはいつも放課後に遊びに行って、遅く帰って来るから。
階段を上がって。
左方向に進む。
廊下にいる二年生達に不思議そうな目で見られる。
(うぅ〜……っ、注目浴びてる……)
俯き加減で、廊下を進む。
「えー、幼なじみの妹とも仲良いの?」
廊下の先で、驚いたような声に顔を上げると。
航くんと、何人かの男女が壁にもたれて話していた。