ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
危険な男
「あのさ、今日の放課後。話があるんだわ」
「あー……うん。分かった」
人生、何度もフラれていると。その前兆というのを、悟ってしまえるもので。
「もう付き合えないから、別れてくんね?」
「……理由、聞いてもいい?」
そして、ふられる理由でさえも。分かってしまうものである。
「しいて言うなら、子供っぽい。小学生と付き合ってるみたいで、全然盛り上がらねぇんだよ」
「……わかった」
小里(こざと)仁奈(にな)。高校一年生の16歳。
今までフラれた回数は五回。けれど本日、新たにカウントが加わり――
梅雨入りした六月。
人生で、六回目のどん底に落ちてしまった。
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