ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
逃げて追って、つかまえて
私って香月雅のことを好きなの?
その発言を本人に聞かれてしまった。逃げも隠れもできない、この状況で……いつか言われた言葉を思い出す。
『自分の考えを、もっと相手に伝えたら?』
元カレの鈴木にコテンパンに言われるがままになっていた私に、香月雅が私に言った言葉。
確かに私は、いつも言葉を飲んでいた。相手の考えに合わせなきゃって思っていた。それがきっと、互いにとって一番いいと思っていたから。
でも、もう知っちゃった。
『どうして俺に言うみたいに、鈴木にズケズケ物を言わないの?』
『昨日の仁奈の方が君らしいよ』
私が私を大事にしなきゃいけない、って分かったから。
だから言う。
生まれたばかりの、私の気持ちを。