ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「好き……なんだと思う」
「……そうなの?」
「さっき、元カノたちに嫉妬した」
「そう、なんだ……」
ドキドキ、ドキドキ
何を言われるだろう。「俺も」って言ってくれないかな。素の自分をさらけ出した私になら、本気の恋をしてみようって思わないかな。そう思ってくれるといいな。
だけど次に聞いた言葉は、あまりにも呆気ないものだった。
「あ、そう制服ね。バッチリ乾いたよ。俺は部屋を出てるから、その間に着替えてね」
「え……」
「飲み終わったら家を出よう。送るよ」
「あ、うん……」
バタン
部屋の扉は閉められた。だけど今の感じ……香月雅の心の扉も、きっと閉められた。
(あ、そうか。私、拒絶されたんだ…)