ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「オハヨ~仁奈……って、何があったの?」

「お、おはよう。小夜ちゃん……」


とんでもない展開になった翌日。あれから家に帰っても号泣し、目をパンパンに腫らした私。それでも容赦なく、平日はやってくる。

そう。学校に行かないといけない。

昨日の今日で、どんな顔をすればいいか。なにも解決策が見つからないまま教室に着いてしまった。

幸いなことに、まだ香月雅は登校していない。


「ってか、いつも仁奈にベッタリの香月くんは?」

「おぐぅ……」


攻撃力、三百点満点。急いで小夜ちゃんの口に手を置き、声を小さくしてもらうよう頼みこむ。

そして周りに聞こえないよう、小さな小さな声で話しながら。昨日起こったことを説明した。
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