ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


(そう言えば、香月雅は頭いいのかな?)


チラリと、香月雅の席を見る。

カバンもないし、もぬけの殻。小夜ちゃんよりも早く、とっとと帰ったらしい。遊んでいるように見えるけど、ちゃんと勉強してるんだ。えらいな。


(って、私はたまたま赤点なだけだから!それに香月雅のことは、もうどうでもいいから!)


ほっぺを叩いて心を入れかえる。すると「おゎ!?」と、隣から男子の声が聞こえた。


「ん?」

「えっと……隣、いいか?」

「ど、どうぞ」


恥ずかしい。さっきの〝頬パンパン〟を見られた。「そんなに気合を入れて補習に臨むのか」って思われたよね……。
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