ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険

キスする時、最初はいつも小鳥がついばむようなソフトなものなのに。今日のキスは違った。最初からねっとりと、奥で絡むような濃厚なキス。

香月雅は荒々しく私の舌を吸ったりなめたり、酸欠で涙を流す私を見ても、それは止まらなかった。ばかりか、どういう器用さなのか。キスの合間に、私に質問したりする。


「昨日俺に好きって言ったのに、今日別のヤツに告られてるのは誰?」

「んぁ、ふ……っ」

「〝あなたには関係ない〟なんて悪いこと言ったのは、このお口?」

「や、ぁッ」


気付けば香月雅の手は、私のお腹に添えられていて。ツツツと、ヘビが這うように上がって来、すぐさま下着のワイヤーにぶつかる。


「や、めて……っ」

「……」


チラリと私を見る香月雅。その目は、尖っているように見えた。言うなら「怒りを含んだ目」。香月雅の激高を間近で見るのは、初めてだ。
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