ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「昨日、大丈夫だったか?香月にムリヤリ連れて行かれてたけど」
「え、あ~……うん。大したことない話だったよ」
そうなのか?と、驚きつつも安心した声色の響谷くん。
ウソをついてしまい心苦しいけど、現実に起こったことは、とてもじゃないけど伝えられない。無理やりキスされただけでなく、『他のヤツの物になっちゃヤダ』と理不尽な独占欲をぶつけられた、なんて。
「聞くんだけどさ、仁奈って香月の彼女?」
「え?ち、違うよ!全然ちがう!」
すると響谷くんは「そうか」と笑った。
……あ。そう言えば私って、響谷くんに告白されたんだよね?
『俺、仁奈のこと好き』
あれって、本当なのかな……。
「昨日の告白だけど」
「!」
悩んでいると、響谷くんが「昨日の告白」と。私の疑問を、わずか三秒で片づける。アレは、やっぱり告白だったんだ。