ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「昨日から思ってたけど、仁奈って素直だよな?反応も初々しくて、かわいい。そういう所に惚れた」

「か、かわいいって……」

「最初に会った時はクールビューティって感じだったからさ。だから余計に……うん、あの笑顔はズリぃ」

「あの笑顔?」


私が響谷くんの前で笑ったことと言えば……あ、五点のテストを見せてもらった時!


「あの時は思わず笑っちゃったけど……私を失礼な奴って思わないの?」

「全然。むしろ恥をさらして、五点のテストを見せた甲斐があったわ。そんくらいイイ笑顔だったわけ、俺にとっては」

「そ、そうなんだ……」


またしてもストレートを食らって赤面した私を見て、「やっぱ可愛いわ」と響谷くんは笑った。その言葉を聞いて、更に私の顔が赤くなったこと。響谷くんはお見通しだろうな。

教室が違うため、下駄箱で別れる直前。内緒話をするため、響谷くんが私に顔を近づける。
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