ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「ちなみに、そういう点では香月くんはマイナス百億点。軽くて遊び人で、何人も彼女がいるなんて言語道断」
「仮にも推し相手に、厳しい評価だ……」
「そりゃあ大切な友人の恋ですから。推しよりも親友!故にジャッジも辛く厳しく!」
「ありがとう、小夜ちゃん」
ニシシと笑う小夜ちゃん。その強気な笑みが頼もしい。すると彼女のつぶらな瞳は、女子と話す香月雅へと移った。
「でもさぁ、女子に人気があるってことは、それだけ女子のことを理解してるって事だよね。共感してくれる男子って、一緒にいて心地いいじゃん?それゆえに、沼って抜け出せない女子が多いんだよ」
「理解、共感……」
確かに、その通りかも。
香月雅は、絶対に私を否定しない。いつも私を励まし、支え、応援してくれた。恋を教える、とか面倒な役まで引き受けてくれたし。
「う~ん……ズルい」
「でも今これだけ悩んでるんだからさ、次に仁奈が決めた人が、恋の正解なんだよ」
「恋の正解……」
私も今まで「正しい恋」がしたいって思ってた。だけど、ある人によって言い換えられた。
『俺が教えるのは〝正しい恋〟じゃなくて〝楽しい恋〟だからね』