ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険





頭では香月雅を諦めた方がイイと分かっているのに。
あんな事を言うなんて。


『少しでいいから、私を好きになって』


私って本当、どうしようもない。


(これが小夜ちゃんの言う〝どうなるか分からないのが恋〟ってやつなんだ)


自分のことを自分で制御できないんだから、この先の事なんて、本当に未知数だ。


(っていうか私、香月雅と話した後から記憶がないけど……良かった、家に帰れたんだ)


フカフカのベッドの上で、安堵の息をつく。少し寝たからか、頭痛は治まっていた。吐き気もない。いつもの私だ。


(……ん?)


私のベッドって、こんなにフカフカだったっけ?

目を左右前後に動かすと、ある事に気付く。そして新たな頭痛のタネを発見した。


(……どうしよう。ここ、私の部屋じゃない!)

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