ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「え、〝雅お兄ちゃん〟!?」


ガバリと体を起こし、じっくり周りを確認する。やっぱり昨日お邪魔した香月家で間違いない。しかも妹の監視付きというオプションも追加されている。


「なんで、こんな事に……!」

「あ?起きてるなら、さっさと出て行ったら?あざとい煮干し女」

「わ、私の事……?」

「アンタ意外に誰がいんのよ!」

「ひっ」


明るい茶髪が特徴の、高い位置で括っているツインテ女子。きっと香月雅の妹さん。っていうか絶対そう。さっき言質を取ったのもあるけど、こんな可愛い子、香月家以外から生まれるはずがない。

妹さんに魅入っていると、すごい剣幕で「頭が高い!」と叱責を受ける。数学の先生には叱られなかったのに、まさかの不意打ち。


「お兄ちゃんのベッドにいるなんて、百二十万年早いのよ!床に座りなさいよ!もしくは地下!」

「ゆ、床で勘弁してください……っ」


香月雅とは違って、すごくハキハキした子だ。彼はどちらかというと、柔らかい雰囲気でのらりくらりしてる。だけど妹さんは、全身トゲが生えた鋭さだ。兄妹で、こうも性格って違うんだ。
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