ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「それに私……フラれてますし」
「はあ?アンタバカなの?」
「ですよね。私なんかが告白してしまって、本当にすみません……」
不釣り合いなのは分かっていた。それでも、自分の気持ちを止められなかった。今思えば、自分でもバカだと思う。浅はかだったって。
すると妹さんは「チッ」と舌打ちをかます。
「身分とか、そういうんじゃなくて。振った相手に、普通ここまでしないっての。どうでもいい女なら、その辺に投げ捨てるわよ」
「え?」
「アンタだから、お兄ちゃんはココに連れて帰って来たの。……玄関開けてビックリしたんだから。大雨の中、ずぶ濡れのお兄ちゃんと、大事に抱えられたアンタ。しかも自分がシャワー浴びてる間に、アンタに異変があっちゃダメだからって、私を見張り役に頼んだのよ?
これのどこが〝フラれてる〟のよ。もう一回、無い頭で考えなさいよ」
「……っ」