ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「それに私……フラれてますし」

「はあ?アンタバカなの?」

「ですよね。私なんかが告白してしまって、本当にすみません……」


不釣り合いなのは分かっていた。それでも、自分の気持ちを止められなかった。今思えば、自分でもバカだと思う。浅はかだったって。

すると妹さんは「チッ」と舌打ちをかます。


「身分とか、そういうんじゃなくて。振った相手に、普通ここまでしないっての。どうでもいい女なら、その辺に投げ捨てるわよ」

「え?」

「アンタだから、お兄ちゃんはココに連れて帰って来たの。……玄関開けてビックリしたんだから。大雨の中、ずぶ濡れのお兄ちゃんと、大事に抱えられたアンタ。しかも自分がシャワー浴びてる間に、アンタに異変があっちゃダメだからって、私を見張り役に頼んだのよ?

これのどこが〝フラれてる〟のよ。もう一回、無い頭で考えなさいよ」

「……っ」

< 139 / 225 >

この作品をシェア

pagetop