ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
香月雅がびしょ濡れ?でも私の制服が濡れた様子はない。自分の事はそっちのけで、私が濡れないように気遣って運んでくれたの?
しかも私が心配だから妹さんをそばに置くって……なにそれ。どういう事なの。
ねぇ香月雅。
あなた、もう本気の恋はしないんでしょ?
「香月雅は……言ったんです。もう本気の恋はしないからって。だから私、諦めようと」
すると妹さんは「は~~」と長~いため息をはく。
「アンタ本当にダメ。背格好だけじゃなくて、頭の中も煮干しだわ。頭の中、乾燥しすぎてスポンジみたいにスカスカ」
「そこまで……!?」
「そこまで、よ。アンタさぁ、お兄ちゃんが言ってる言葉の何割が本当だと思ってんの」
「!」
それは確かに、その通りだ。あの人が言ってることは嘘か本当か分からない、掴めないことばかりだから。