ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
「……さすが俺の妹、手強いね」
「ふふ」
推しに褒められ、ご機嫌の美麗ちゃん。反対に、驚きの事実を知らされ、混乱の仁奈ちゃんこと私。記憶を辿り、キスマークをつけられた時のことを思い出す。
そう言えば。一度だけ違和感を覚えた時があった。
あれは確か、補習の日。響谷くんと話していたら香月雅が来て、私を教室から連れ出した。
『え、なに……いたッ』
あの時……!室内だから蚊はいないよね?くらいにしか思ってなかった。まさかキスマークをつけられていたとは。
小夜ちゃんや響谷くんにバレなかったのは、不幸中の幸いだ。逆を言えば、目ざとく見つける美麗ちゃんがスゴすぎる。
年下だけど私よりもしっかりしている美麗ちゃんに感心する。だけど美麗ちゃんの凄さは、ここからだった。