ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「ねぇ。今お兄ちゃんがやってることって、本当に手助けかなぁ?〝キスマをつけた体調不良の友達〟を自分のベッドに寝かせるのは、ただの独占欲じゃない?」

「……そうかもね」

「なら〝友達〟って言い方やめたら?素直に〝好きな人〟って言えばいいじゃん。何に遠慮してるの?こんな煮干し女相手にさ」

(ん……!?)


美麗ちゃんの最後の言葉が引っかかるものの。耳は香月雅の声を拾うため、全神経が研ぎ澄まされている。香月雅は私のことを好きなの?好きじゃないの?

今までてっきり脈ナシだと思っていたから、「もし私を好きって言ってくれたら」と思うと、ありえない速さで心臓が荒ぶる。

すると香月雅の吐息が聞こえた。それはため息にも聞こえるし、次に喋るための心の準備にも聞こえる。静寂を切り裂く、香月雅の言葉。私は祈るように、合わせた両手に力を込めた。
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