ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「俺が褒められる恋愛をしてないっていうのは、美麗も知ってるよね?」

「お兄ちゃんが遊び人ってこと?美麗からすると、一人の女を愛するお兄ちゃんなんて見たくないから、ちょうどいいけど」

「そういう割り切りが出来ないのが、仁奈の短所であり長所なんだよ。純粋って、もろ刃の剣だから」


一呼吸おいて、香月雅は続けた。


「俺は重い自分から吹っ切れたけどさ、恋愛的には間違った方向に進んでる。誠実じゃない。仁奈には、俺みたいになってほしくなかったんだ。仁奈みたいな純粋な子が遊び人になるなんて嫌だ、見たくない。

だから手助けのつもりだった。仁奈の〝恋愛に対して真っすぐな気持ち〟は歪まないでほしかったから。だからあの時、〝恋を教える〟って言ったんだ」
< 149 / 225 >

この作品をシェア

pagetop