ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「この人、そんなに真っすぐなの?」

「……」


数秒だまった後。香月雅は、こらえきれない笑みをこぼす。


「ふっ、すごく純粋だよ。初々しいっていうのかな。元カレから〝幼い〟ってフラれ続けるくらいウブ。六人と付き合ったことがあるのに、キスしただけで真っ赤になるし、手を繋ぐのも恥ずかしがるんだから」

「……あざといんじゃなくて?」

「もしそうだったら、すぐに俺が見抜いてる。仁奈のは本物」

「ふぅん、実証済みってわけ。……気に入らないなぁ」


美麗ちゃんから冷気を感じる。私は私で、まさかこんな所で自分の恋愛歴が暴露されるとは思わなかったから、テンションが氷点下を下回った。

だけど心は温かい。それはきっと、香月雅の内面に踏み入ることが出来たからだ。
< 150 / 225 >

この作品をシェア

pagetop