ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険

香月雅が自分の唇をなめただけで、まるで操られたように反応してしまうなんて……やっぱり、この男は危険だ。


はやく逃げなきゃ――!



「君の言うワルい男がどれほど優しい奴だったか。今から俺が、教えてあげる」

「え、」



頬に添えられた手は、私が上を向くようコントロールした。前髪が当たる距離で、私は香月雅と視線を交わしている。

まるで人形のようなキレイな肌から、整った顔立ちから……目が離せない。



「君は愛されたいんだよね?恋を経験したいんだよね?俺なら、そのどちらともを叶えてあげられる。

だから頷いて?

その瞬間、俺と小里さんは彼氏彼女だ」

(何番目の彼女よ……っ)



勝手な物言いに腹が立ち、強く睨み返す。すると香月雅は、なぜか体をブルッと震わせた。

その姿は、まるで――


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