ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
雅の、止まらない攻撃



「七番目は俺がいい。

仁奈、俺を君の最後の彼氏にしてください」



抱きしめられた時、香月雅の香りに包まれた。

初めは「危険だ」と、あれほど警戒していた匂い。だけど今はこの匂いに包まれると嬉しくて、安心する。

私、この腕の中に、ずっといていいんだ――


(っていうか今〝最後の彼氏〟って言った?)


この腕の中に、おばあちゃんになるまでいていいのかな。もう結婚まで見据えてますよ、っていう解釈で合ってる?


(聞きたい、けど聞けない……!)


さっきまで必死で恥ずかしげもなく、色々しゃべったけど。こう、急に我に返ったというか。

香月雅に抱きしめられているだけならまだしも、「仁奈」なんて。猫が喉をゴロゴロ言わせるみたいに名前を呼ばれるから、こっちはもう〝あたふた状態〟。
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