ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険

「ねぇ俺と付き合う?付き合わない?……あぁ、ごめん。俺って悪い男だから。

〝待て〟は出来ないんだった」

「んッ!?」



瞬間、二人の距離はゼロになり、一ミリの隙間なく埋まる。押し当てられた唇は熱く、柔らかい。それだけじゃなく、ビックリするほど気持ちが良くて――それがまた怖い。



「んぅ~……っ」

「今まで何人の男と付き合ったの?一人、二人?」



答えようとすると、キスされる。唇が塞がれ、息をすることさえままならない。

だけど私が答えるまで、このキスは続きそうな気がしたから。なんとか隙をみて「ろく!」と言った。そう……私はちゃんと答えた。

答えた、というのに――



「ふぅん。その六人、やっぱ優しい奴らだね。だって小里さんに、キスの快感を教えなかったって事でしょ?キスで初めて気持ち良くなる小里さんを、俺が一番に見られるわけだ」
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