ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
怒った雅の機嫌の直し方なんて、もちろん知らない。ここにきて、新たな不安が意図せず爆誕してしまった。
「元カレたちと雅を、決して一緒にしてるわけじゃなくて。もはや私の性分というか……ごめん」
「ごめん、は何に対して?」
「私を好きでいてくれる雅を、信じ切れなかったから。雅なら、どんな私も好きでいてくれるって……そう思えればいいんだけど」
さすがに六回もフラれていると暗い影がつきまとうわけで――なんて言い訳をする私を、雅は座ったままジッと見た。
穴が開きそうな、強い視線。一度交わると、もう逸らせなくて。思わず泣きそうな顔で、雅を見つめ返した。
すると雅は私の手をさらい、甲にキスを落とす。柔らかな唇が、ガチガチに固まった私の心を優しく宥める。
「俺はね、仁奈のウブな反応も純情な心も。全部ひっくるめて大好きなんだよ」
「私の、全部を?」
「うん。死ぬほど好き」
「!」