ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「はは、また顔が赤くなった」

「~っ!誰のせいだと……っ」


赤面した私を覗き込む雅。勝ち誇った笑みを浮かべながら、立ち上がってすぐ私を抱きしめた。


「でも、俺が鈴木に言った通りでしょ?」

「鈴木に……?」

「ほら。仁奈と鈴木が別れた次の日。教室でちょっとしたバトルをしたじゃん」

「教室で……」


記憶を辿りよせる。すると、バトルの片鱗が脳裏に浮かんだ。


『分かってないなぁ。軽い男が本気で〝好き〟っていう破壊力が、どれだけ凄まじいものか。鈴木、知らないの?』


あぁ、あれ!確かに言ってた!

合点がいった私を見て、雅はまた笑う。「破壊力あったでしょ?」なんて言う姿は幼い子供みたいに無邪気で、なんだかとても幸せそうだった。




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