ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


きっと仁奈は初めてだろうから、優しく丁寧に接したい。痛くないようにしたい。

そのためには……俺が正気を保てないことには、何も始まらない。むしろ何も始められない。想像だけで心拍が早まるようでは、お家デートなんて遠すぎる未来だ。


(仁奈とそういう行為をするためには、まずは自分を鍛えないといけないって事か……)


悟った。
理解した。
後は……我慢するだけだ。


「白いネコを、早く買いに行きたいなぁ……」

「……」

「……だめ?」


可愛い仁奈を泣かせる奴は、例え自分だろうと許さない。だから今は、頭の中だけの映像で自分の欲を満たす。


「……よし、OK。今すぐ行こう。まだ時間は大丈夫?」


時間にして約三秒。
頭の中の映像に幕が下りる。
俺の葛藤に、俺が勝利した瞬間だった。



(死ぬほど好きだから、死ぬほど大事にする。だから〝その日〟まで、待っててね仁奈)



*雅*end


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