ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
ゆがんだ溺愛の果てに
「ということがありまして。
無事に付き合うことになりました」
「うん。見てたら分かるわ」
次の日。
ことの一部始終を小夜ちゃんに話すと、真顔で「おめでとう」と言ってくれた。なんで真顔?
「もしかして雅と付き合ったのが不満、とか?」
「いやいや。不満があるのは、香月くんの方じゃないの?今も隣で、すごい顔して仁奈を見てるよ」
「え」
隣を見ると、どこから持って来たか分からない椅子に座る雅。机上には、意外とたくましい腕を交差させ置いている。その上に自身の顔を乗せ、何か言いたいことであるように。ジト目で私を見つめていた。
揺れる前髪の隙間から真っすぐな目で射抜かれると、つい視線をそらしてしまう。とてもじゃないけど直視していられない。
ジト目だけどカッコイイなんて、卑怯だ。手に負えない顔面偏差値は、威力がありすぎる。
「えっと雅、どうしたの?」
「……」
彼がこうなっているのには、もちろん理由がある。それは、さっきの数学・小テストのこと。