ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「こら、俺を置いていかないの。なんで泣いてるのか話して?」

「……ズッ。何でも、ないれす」

「やだよ、俺だけ置いてけぼりじゃん。仁奈が悲しい時は、俺も一緒に悲しくなりたい。俺の仁奈を独り占めしないでよ」

「ふふ、なにそれ」


いつもより冗談めいた話し方や、鼻にかかったくぐもった声に……心がほぐれて癒された。

この人は、あといくつのギャップを持っていて。
あと何回、私を胸キュンさせるんだろう。

ときめきのコンボに、昨日から私の心臓はずっと忙しい。雅と一緒にいるのに、全然ゆっくり出来てない感覚。


(あ、今……キスしたい)


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