ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
雅の体温を感じ鼓動に耳を済ませていると、じれったい気持ちに駆られた。今わたしたちを邪魔する人はいなくて、二人きりで、一時間くらい時間がある。
「ねぇ雅、キスして?」
「なんで素直に言っちゃうかなぁ」
私の爆弾発言に、雅は呆れたように笑った。かと思えば肩を押され、私たちの間にわずかな隙間が生まれる。
「キスしてもいいの?」
「むしろ、してほしい」
「激しくてもいいの?」
「むしろ、激しいのがいい」
「! まいったな」
そんなこと仁奈が言うなんて――と雅の顔に書いてある。イケメンの〝鳩が豆鉄砲を食らった顔〟。貴重だ。
「私まだまだ不慣れだから……キスが下手でしょ?だから回数を重ねて、上手くなりたいの」
「嬉しいけど、焦らなくていいんだよ?俺がじっくり教えるのも楽しみの一つだし」
「でも、いつも私は雅のキスで気持ちよくなってるから……。私だって、キスで雅を気持ちよくさせたい」
「……」
数秒の間があった後。雅は、昨日と同じく目を閉じた。ロングブレス、再来。