ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険
クズな男に恋を乞う
「昨日のことは……夢?」
衝撃的なことがあった翌朝。ベッドの上で、まどろんでいる途中。最初に出て来た言葉が、コレ。
学校一イケメンでクズ男の香月雅と、キスしてしまった。これは由々しきことに違いない……って思うのに。
ふにっ
昨日、触れ合った唇を触る。
すると寝ぼけた頭に、はりせんが降って来たような。そんな衝撃が、頭のてっぺんから足の指先まで、一気に駆け抜ける。
「~っ」
だめ。だめだめ、思い出したらだめ。
ぐぅっと背中を丸め、布団に顔をつける。唇を触ってしまった自分に、喝を入れた。
「決めた、もう香月雅のことは思い出さない。以上!」
しゃっきりした頭で階段を降りる。いつもより大きな声で「おはよう!」と挨拶した私に、お母さんは唖然としていた。
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