ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「この扉を開けたら、俺はきっと仁奈を少し食べると思う。それでもいい?」

「食べるって、さっき言ってた味見?」

「本番はしない。もちろん怖がらせもしない。ただ……気持ちよすぎて、ちょっと泣いちゃうかもね」

「っ!」


それって……!

先のことを想像して、胸の前で両手を握りしめた。心臓が、私の体を大きく揺らしている。バクバク鳴るのは、恥ずかしさか緊張か、はたまた好奇心か。


「嫌だったら、すぐ教室に戻ろう。あ、でも抹茶ジュース飲んでからにしよっか。俺も緊張して喉乾いちゃったし」

「雅も、緊張するの……?」


そういうコトには慣れてそうな雅が……?すると雅は罰の悪そうな顔を、少しだけ手で隠した。


「そりゃ緊張するよ、好きな子だもん。大事にしなきゃって思うから、今までで一番、力が入ってる」

「今日が本番じゃないのに?」

「あのねぇ。可愛い仁奈を前に、俺がいつでもブレーキを踏めると思ってるの?毎回毎回、こっちは必死なんだから」


そうなんだ。雅がキスでいっぱいいっぱいなんて……ビックリだ。

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