ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


「でも私、下手だったよね……?」

「だからぁ。好きな人が相手だったら、何しても嬉しいんだよ。必死になる分、幸せも大きいしね」


って言わせないの――と雅が顔を赤くするものだから。不覚にも、今までで一番キュンとした。

こんなにイケメンで、しっかりと男の子なのに、なぜか可愛く思えちゃう。しかも彼をそうしているのは私なんだと思ったら、どうしようもなく気分が高揚した。


「だからね、仁奈。俺と二人きりになった時は気を付けて。ケモノと一緒だから、」

「ねぇ雅……早く、外に出よ?」

「~っ、もう」


意表を突かれた雅の、顔の赤さと言ったら。

口を閉じ寡黙になった雅の「雄めいた横顔」に、体の内側からゾクゾクした何かが湧きあがる。


「――んっ!」


バタン、と扉が閉まり切る前に。
私たちは口づけを始めた。


「んぁ……っ」

「仁奈、にな」


まるで食べられているようなキス。

私の唇ぜんぶを覆うように、雅は口を開ける。そして中に潜む私のソレを、遠慮なくからめとった。


「んん……っ」

「っは、気持ちいい」


喋る余裕があるのが不思議。一体いつ呼吸をすればいいか分からないくらい、激しいキスなのに。

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