ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険


酸欠なのか、それとも快楽なのか。目じりにたまった涙は、雅の親指によりすくわれる。時には舌で、直接なめられる。

指や舌の感触でさえも、私の体は正直に反応した。もちろん、それを見逃す雅ではない。


「はぁ、可愛い。でも、ちょっと待って」

「もう……、」


もうブレーキ?なんて言葉を、やっとのことで呑み込んだ。雅が必死に耐えようとしているのに、私が理性を刺激するのは良くない。それは非常に良くない……って思っているのに。


「あと三回したら終わる。……ダメ?」

「三回……短くも長くもない、いやらしい回数だね」


ふーって耐えながら、私の体をさわさわ撫でる雅。思わず三回、なんて言っちゃったけど……私がもたない気がする。

っていうか、三回目を乗り越えちゃいけない気がする。その先で「流される私」が安易に想像できるから。


「や、やっぱり一回で、」

「だーめ。三回って言ったから、三回」


ちなみに、と雅の目が妖しく細められる。


「一回の〝長さ指定〟はなかったから、三分しても五分しても、一回は一回だよね?」

(ひぇ)


少しずつ雅から距離をとるも、やっぱり簡単につかまっちゃって。私も本気で抵抗しないものだから、私たちは早くも一回目のキスを開始した。

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